結露の防止策と生体品の扱い

温度管理のヒント
2020.06.20

低温環境における商品取り扱いの留意点として、特徴的なこの2つの点について述べる。
この理解が充分でないと、業務運営上思わぬ失敗を招くことがある。

結露発生のメカニズムとその防止策

冷蔵倉庫内で結露が発生しそれが結氷につながって、冷却機能が著しく低下することや、低温トラックの配送商品が納品先で常温環境にさらされ外装表面が濡れることがある。
これが原因で金属缶のサビや、段ボール箱の強度劣化・カビの発生というようなことにもつながる。
まず結露発生のメカニズムをよく理解し、それを最小限に食い止めることが重要である。

(結露発生のメカニズム)
低温環境を維持する空気は酸素21%を含む混合気体である。
そこには水蒸気も含まれており、これを湿り空気と言う。
そこで保有できる水分量には限りがあり、限界をこえると過飽和状態になって水蒸気が液化して結露となる。
温度が高いほど水分保有可能量が大きく、低いほど 小さい。
つまり湿り空気を冷やしていくと、ある温度のところで空気中に保有している水蒸気量が水分保有可能量を上回り結露となる。
この温度のことをその空気の露点温度と冷蔵庫荷捌き場としての前室に湿った外気が侵入し、結露が発生するのはこれが原因である。
また前室の空気が庫内の冷気に触れてもたちまち結露となり、これが繰り返されて結氷ということになる。

(結露の防止策)
結露を全く生じさせないようにすることは不可能であるが、重要なのはこれを問題にならない程度に管理することである。
一番その可能性が大きい前室においては、ドックシエルターの気密性が重要であり、庫内との出入り口のドアをこまめに閉めることがまず基本となる。
そのためには自動ドアが一般的だが、これは精密機械であリフォークリフトによる衝突などの防止策を講じておく必要がある。
設備としては前室に除湿機を設置することや、防熱の厚みを充分にとること、カーテン、のれんなどが有効である。

生体品扱いの留意点

コールドチェーンのシステムには野菜・果物・魚介類等の生体品がのってくることがあり、食品ではないが花井類もその範疇である。
外食・中食産業の店舗への食材供給システムでは、これらを加工食品類と同時に扱うことが必須となる。
生体品は収穫後も呼吸を続けており、酸素を吸収して炭酸ガスや熱・水分を排出し、エチレンガスのような生理活性物質や臭いの原因となるガスを発生することもある。
野菜類は成長過程の最も活性が高い状態で収穫するので、一般的には予冷して呼吸活性を低下させる方法がとられており、これで鮮度を保持するわけである。
一方では保存中の低温障害という問題もあり、注意が必要である。
収穫後直ちに予冷し、その後は完全なコールドチェーンで管理するわけだが、野菜類は一般的に2~10°Cのチルド帯である。
この範囲を外れると凍結ないしは呼吸活性が増大して鮮度が落ち、商品価値を失うということになる。
野菜・果実類を長期にわたって保存する場合には、商品群により最適な温度・湿度・環境ガス条件等が異なるので慎重を期す必要がある。
場合によっては環境ガス組成を調節するCA11貯蔵庫のような機能も必要になる。
逆に果物の追熟を行うためにガスを使う場合がある。

(混載を留意すべき商品群)
商品によリエチレンガス等の発生量が多く他の商品に影響を与えやすいものは、混載する場合には注意が必要である。
また低温障害を受けやすい商品もあり、この場合も同様である。
この分類区分が極端に異なるものの混載は、長時間輸送では避けるべきである。