【物流百科事典】拠点運営と輸配送ネットワーク

業界あれこれ
2020.06.20

鮮度や流通スピードを実現する上で、低温物流の拠点・ネットワークの設計や運営には
多くの工夫が必要である。
もちろんローコストオペレーションの視点も重要であり、
さらには変化への対応も充分に考えておかなければならない。

低温物流の拠点・ネットワーク:ハブ&スポーク

在庫を適確に管理する上で拠点数は少ないほうがいいことは冒頭に述べた。
基本的にはまずマザーセンターを配置し、短時間での在庫補充ができないエリアの配送センターを除いて、
極力無在庫型のネットワークとして組み立てるべきである。
鮮度要求の厳しい日配品では、
工場をハブセンターにして在庫拠点を持たないエリア完結型のネットワークである。

物流センターとしての拠点運営:WMSilによる業務支援

ハブセンターとしての業務運用は受注処理から始まって、在庫管理、配車・ピッキング、
配送と多岐にわたっていく。
リテイルサポート機能やローコストオペレーションに向けた管理も重要である。
受注業務を起点に在庫引当。配車・ピッキングを一体で行い、配送から納品につなげていく。
在庫補充や庫内ロケーション管理も重要な仕事である。
ハブ機能としては他の前進基地への幹線輸送も必要であり、この全体業務をタイムスケジュールにそって整然と運営していかなければならない。
出荷量の予測や要員手配等も重要な機能である。
出荷波動やリスクを想定した事前の段取りを充分にやっておかないと、
その場面での対応が混乱することになる。
365日。24時間連続稼働では思わぬ事態が発生するので、リスク管理・危機管理が不可欠である。

配車システム

物流センターにおける輸配送機能は、顧客に対し決められた条件で商品をお届けする上できわめて重要である。
これは大きく分けて幹線系と地場配送系があり、受注データを在庫引当した後にいかに迅速に適確に配車につなげられるかで、物流サービスの重要部分が決まる。
幹線系は長距離で大型車による輸送であり、求車求荷システムを活用するのが妥当である。
自センターだけで幹線を毎日運行し、所定の積載率を維持するのはきわめて困難であり、
他社との共同化が必要となる。
地場配送は共同配送の形態により幾つかの方法がある。
日配品は基本的に定ルート配送であり、出荷物量が所定の車両に収まるかどうかが中心の配車になる。
ランダムな配送では個々の納品条件を配慮して、積載率をいかに高めるかが基本である。
これらの配車業務については情報ソフトが多く市販されており、かなり高度な支援も可能だがすべてをシステムに任せるというわけにはいかない。
最終の判断は人が介在して運用したほうが無難である。
配車が確定したらその結果で庫出ししピッキングするという手順となり、倉庫管理システムともデータが
リンクしていく。
さらに低温系では車両の動態管理が不可欠であり、これも含めたシステムとなる。

DC型とTC型の組み合わせ

冷凍品は賞味期限が長いので、常温商品並みの在庫管理が可能で在庫を持つDC型の運用になるが、
消費期限の短いチルド品では在庫を持たないTC型の運用になる。
低温系物流センター業務の基本は、この2つの組み合わせである。
自ずと物流センターの1階は中継・仕分け中心のスペースとなり、
仕分けした商品を仮置きするエリアも必要になる。
備蓄は2階以上のフロアで行い、上下の動きを加味した運営になる。

スルー型運営:クロスドッキング

消費期限の短い商品では在庫が持てず、生産拠点から極力無在庫で直配していくという形態になる。
物流センターのデッキボード上で入庫した商品を直ちに仕分けし、
そのまま出荷していく方式をクロスドッキングという。
常温系商品でも在庫を削減するために拠点を集約し、広域に配送ネットワークを展開する場合にはこの方式が使われている。