2大ツールで実現する保冷ボックスの圧倒的設計力

保冷保温ボックスの秘密
2021.07.01

保冷ボックスといえば、一般的にどのようなものをイメージされますか。すぐに思い浮かぶのは、運動会や部活で使用されるプラスチック製のものから、最近では、大容量でデザインにまでこだわったスチール製のクーラーボックスまで、多岐にわたり流通しています。保冷ボックスと一言で括ると世の中に数多ありますが、私たちキラックスが製造販売するのは、量販店で購入できるような汎用的なものではありません。ユーザーの定める管理温度や輸送時間を維持することを大前提に設計したオリジナル品です。特注品の保冷ボックスと聞けば、少しハードル高く聞こえてしまうかもしれません。ですが、キラックスでは、これまでに培った経験則と独自のソフトを使用して裏付けある設計を行っています。今回は、私たちが独自開発したソフトについて紹介していきたいと思います。


■目次■
1.熱解析ソフトによるシミュレーション
 1-1.熱漏れを考慮した温度推移分析
 1-2.他にない独自開発ソフトの5つの特長
2.必要冷媒量をシミュレーション
3.まとめ


1.熱解析ソフトによるシミュレーション

これまでは保冷ボックスを設計するにあたり、最初にたくさんの要件を確認する必要がありました。外気温(環境温度)、輸送中の平均温度、許容上限温度、許容下限温度、輸送時間、貨物の種類、貨物のサイズ、保冷剤のご準備、保冷剤凍結環境の有無・・等々。どれだけ適性ある設計が出来ても保冷剤を凍結できる環境がなければ、その案が見送りとなることも珍しくありませんでした。また、要件を担保するためには実証テストを行うことがスタンダードで、そのために都度、試作品を準備していました。本当にこの量の保冷剤で管理温度を維持することが出来るのか、保冷ボックスのサイズと厚みは本当にこれで良いのか等、これらを確認するために毎回テストを繰り返しすことで時間とコストがかかり、依頼主であるユーザーに負担をかけてしまっていました。そこで、私たちキラックスは、不要な時間とコストを削減するべく、熱解析ソフトを独自開発したのです。

1-1.熱漏れを考慮した温度推移分析

基本的に保冷ボックスを成形するには断熱材を6面組み合わせる必要がありますが、断熱材が突き合う狭小な隙間からは必ずと言っていいほど熱漏れが発生します。くわえて、最終目的地に到着するまで保冷ボックスを開閉することがあれば、当然、外気温の流入も生じてしまいます。保冷ボックスの設計に潜む長所と短所を考慮し、外気温の変化や蓋の開閉といったすべての諸条件を入力したうえで、温度推移をシミュレーション出来るソフトに仕上げました。こうした運用ルールや配送ルートで異なる諸条件は、実証テストでも反映させることが出来ず、恒温室を飛び出して、実際にトラックへ積載して温度を計測することもありました。熱解析ソフトは、こうした手間をも改善する画期的なものとなったのです。

1-2.他にない独自開発ソフトの5つの特長

①実証テストなしに、ボックス内の温度変化をシミュレート
②ボックス6面すべて異なる断熱材(物性値)で条件入力することが可能
③真空断熱材(VIP)を挟むXPSからの熱漏れを考慮
④条件の異なるシミュレーション結果を一度に3案まで同時比較
⑤空間温度(12ポイント以上)、保冷剤配置箇所の温度、貨物品温をシミュレートしグラフ化

この熱解析ソフトは、実証テストでも組み込めなかった要件を反映させ、実際に配置する保冷剤の位置まで条件入力することが出来ます。特に、ハイスペック品である真空断熱材を用いた保冷ボックスにおいては、内材構成からどれだけ熱漏れが起きるのかを考慮出来ることも大きな特長と言えます。

2.必要冷媒量をシミュレーション

通常、保冷ボックスは冷媒を投入することで目標温度の維持を図ります。冷媒の投入なしに貨物の持つ潜熱だけで輸送するという例は少なく、私たちもあまり聞いたことがありません。上限温度と下限温度の幅がよほど広ければ冷媒の投入は必要ないのかもしれませんが、無電源で輸送する場合、その低温輸送のほとんどで保冷剤やドライアイスの投入が欠かせないものとなっています。
キラックスの営業担当は、保冷ボックスの基本設計をする際に「必要冷媒量のシミュレーションソフト」を使用しています。一次提案を行う際などに、このソフトを用いて、いったいどれだけの冷媒を投入しておけば良いのか当たりをつけることもありますが、物流センターの現場担当者から運用ルールの相談を受ける機会も多く、配送ルートや輸送時間によって冷媒の投入量をアドバイスさせていただくこともあります。

下記5つの要件が分かれば、ソフトを用いてすぐに計算することが可能です。
①保冷ボックスのサイズ(内寸)
②外気温(環境温度)
③輸送中の平均温度
④許容上限温度
⑤貨物の重量
⑥貨物の初期温度(輸送開始時)

3.まとめ

私たちキラックスは、保冷ボックスのメーカーです。ボックスを設計・開発するノウハウと環境があります。これまでの納入実績は経験則となり、設計・開発の土壌を肥やしました。そこに、2つのツールを併せ持つことで、いままでに見たことのない花を咲かせ、皆さまに評価いただける大きな実りを届けたいと考えています。使っていただいてこその保冷ボックスです。私たちメーカーがどんなに納得のいく保冷ボックスを設計・開発しても、実際の運用に役立たなければ意味を成しません。オーバースペック過ぎない「ちょうどいい」保冷ボックスの提案が私たちの信条です。
どんな用途でお使いになるのか、使用条件を念頭においた設計でご要望にお応えしてまいります。低温輸送をスタートさせる事業所のご担当者様、管理温度を逸脱してお困りのご担当者様、是非お気軽にキラックスまでご連絡ください。


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