【物流百科事典】マテハンと一貫パレチゼーション

業界あれこれ
2020.06.21

過酷な作業環境において、作業効率向上やスピードアップを図るためには、マテハン設備の利用や一貫パレチゼーションが不可欠である。
しかし低温環境や消費に近い領域での業務対応ではまだ課題が多い。

低温物流で使われる主なマテハン機器

省力化、自動化を目的とした主なマテハン機器を表-21に示す。-50℃程度の条件でも稼働可能な自動倉庫システムも実現しているが、幾つかの工夫が必要になる。
低温環境において空間はコストであり、いかにスペース効率を上げられるかということと、作業のスピードを支援することが重要である。

半自動システムの活用

消費に密着する低温物流では商品アイテム改廃のスピードが速く、流通チャネルも常に変化する。
このような条件下で完全な固定設備を設置し、柔軟性に欠けるシステムにすることは大きなミスマッチとなる。
システムは可能な限り移動型とし、スキャナーやDPSを駆使した半自動システムにすることが大きな流れ
である。
吊り下げ式のDPSや移動式のコンベアも開発され、いかにスペースを有効に活用するかが重要である。

マテハン設計上の留意点

低温領域におけるマテハン設計については、幾つかの工夫が必要であることはすでに述べてきたが、次にその主なポイントを示す。

(低温領域におけるマテハン設計上の留意点)

  1. 条件変更に柔軟に対応:アイテム変更、仕分け方法の変更
  2. 省スペース:スペースを食わない、デッドスペースにしない
  3. 高スピード:短リードタイムに対応
  4. 結露対策:電子機器類の保護
  5. デバイス類の温度補償:場合によつては保温
  6. モバイル機器の活用:スキャナー、ラベラー
  7. レスポンスの改善:作業への同期化

光センサーなどのデバイス類は-25℃程度までの環境温度で性能が保証されているが、冷気噴出し口付近ではそれ以下に温度が下がるので、保温などの慎重な配慮が必要である。
またフォークリフト搭載端末等ではプラス環境の前室と冷凍庫との頻繁な出入りとなるので、どうしても結露が発生しそれが凍結してしまう。
機器の気密性と保温が不可欠となる。

標準化できない低温物流パレット

常温系よリー段と一貫パレチゼーションのニーズが高いにもかかわらず、低温領域ではこれがあまり進まない。
その大きな理由の一つはパレットサイズが統一できないからである。
低温物流で使われるパレットは大きく三分化されている。

(低温物流のパレットサイズ)

  1. 水産系の1,000×1,200mm
    伝統的なトロ箱(トロール漁業で使われた)に由来水産系メーカー
  2. 加工食品系の1,100×1,100111n
    常温系加工食品はほぼこのサイズに統一されつつある、JIS標準加工食品系メーカー

トレーサビリティーを実行する上でもパレット単位で製造ロットを表示し、なるべくこれを崩さないという管理が必須となる。
できれば常温系食品のパレット管理インフラをそのまま活用する方式での統一化が望まれる。

包装機能との関連

包装は物流との接点であり、製造工程の品質管理を受けてその最終部分として、次の物流工程に管理を移管する重要な受け渡し部分である。
包装機能によって物流管理の前提条件が確保されるという側面もあり、その主な課題は次の通りである。

(包装と物流の管理接点としての課題)

  1. 包材強度設計:低温躁境では強度低下
  2. 商品表示:品名。鮮度等以外にバーコード表示も必須
  3. 包装モジュール設計:パレットヘの道合性
  4. 最終商品検査との関連:包装のシール性、使用包材の安全性、異物混入
  5. バンドル掛け品等:小分け対応

受注処理から始まって、物流センター運営や配車に至るまでのあらゆるものが用意されている。
これらのソフトからのデータをマテハン系につなぐようなことも当然必要になる。
食品系ではデータ件数が多く業務スピードも速いので、食品流通に実績を持つものを選ぶほうが無難である。
また低温系では幾つかの留意点が必要になることはすでに述べた通りである。