CO2削減でSDGs達成の一翼を担う高性能保冷ボックス

温度管理のヒント
2021.06.28

ここ最近の就職活動は、「SDGsの達成に貢献できる企業で働きたい」と社会問題に視点を持つ学生も増えているようです。「SDGs」というコミュニケーションツールを通して、志望する企業と自分の親和性を測る学生が増加傾向にあることは大変喜ばしいことですが、企業からしてみれば、「SDGs」が掲げるゴールに向かってどのような取り組みをしているのかを社外から求められることが当たり前になってきたということだと思います。
キラックスの保冷ボックスは、無電源で長時間の低温輸送を可能にすることが最大の魅力ですが、もともとは、それほど強く地球環境への貢献を意識した商品ではありませんでした。フードロスの削減やドライアイス(CO2)の使用量削減といった社会課題の解決がより強く求められるようになり、保冷ボックスを提供するメーカーとしてどのような価値を見出せるのか、改めて見つめ直す機会をいただいたと感じています。


■目次■
1.ドライアイスを保冷剤に切り替える
 1-1.低温グレード-25℃の保冷剤
 1-2.保冷剤はドライアイスに比べて環境負荷が小さい
2.高性能保冷ボックスと保冷剤の併用
 2-1.保冷ボックスの断熱性能を上げる
 2-2.折り畳み可能な保冷ボックス
3.まとめ


1.ドライアイスを保冷剤に切り替える

冷凍食品を配送する際、多く使われているのがドライアイスです。仮に、年間約100トンのドライアイスを使用していた場合、これは同量の温暖化ガスであるCO2が大気中に放出していることになります。地球温暖化防止のための取り組みとして、ドライアイスから保冷剤へ切り替えを検討される企業も多く、私たちも多くのお問合せを頂戴しています。CO2の使用量を削減し、地球温暖化防止対策を進めることは、これからの時代、必須となってくると言えるでしょう。

1-1.低温グレード-25℃の保冷剤

冷凍食品やアイスの配送は、許容上限を-18℃と設定される場合が多いですが、-18℃付近で輸送していては上限温度寸前で、とても安心した輸送とは言えません。キラックスでは、-22~-25℃グレードの保冷剤を使用することで、上限温度から少し余裕を持たせた温度帯で輸送できるようご提案しています。
また、保冷剤はブロー容器に入っているため、リユース可能となっており、繰り返し使うことが可能です。ドライアイスが消耗品である一方、保冷剤は再凍結すれば何度でも繰り返し使うことが出来るので、ランニングコストがかかり続ける心配もありません。

1-2.保冷剤はドライアイスに比べて環境負荷が小さい

ドライアイスの温度は-78.9℃。-22~-25℃グレードの保冷剤よりも温度が低いことは一目瞭然ですが、実は、冷熱量にも開きがあります。冷熱量が異なれば、同じ温度を維持するために必要な投入量も異なってきますが、目安として、ドライアイスであれば1kgの投入で済むところ、保冷剤なら3kgが必要になります。
【冷熱量】
・ドライアイス:約150kcal/kg
・保冷剤(-22~-25℃):約55kcal/kg
このことで分かるように、ドライアイスでなければ冷凍配送が難しい食品もありますが、ドライアイスは製造するために、その3~4倍以上の温度で冷やしている分、エネルギーを余分に消費します。保冷剤であれば、再凍結に必要なエネルギーを含めても、ドライアイスより環境に与える負荷が明らかに小さいことが分かります。

2.高性能保冷ボックスと保冷剤の併用

ドライアイスより冷熱量の小さい保冷剤へ切り替えると、約3倍の量を投入して、ようやく同等条件。これでは、投入する冷媒量がただ単に増えただけで、荷物が重くなるデメリットが大きく、いくら地球環境に配慮したとは言え、毎日の業務に支障が出てしまいます。大事なのは、保冷剤に切り替えるタイミングで、通い箱に使用している保冷ボックスのスペックを見直すことです。

2-1.保冷ボックスの断熱性能を上げる

ドライアイスと発泡スチロールの通い箱を使用していた場合、冷熱量の大きいドライアイスに頼り過ぎて、ボックス自体はすごく簡易的なものを使用していることになります。保冷剤へ切り替えるなら、冷熱量が落ちる分、保冷ボックスのスペックを上げることで補っていけば良いのです。
【熱伝導率】
・グラスウール:約0.038W/m・k
・ビーズ法ポリスチレンフォーム(発泡スチロール):約0.04W/m・k
・押出法ポリスチレンフォーム:約0.028W/m・k
・ウレタンフォーム(硬質の場合):約0.024W/m・k
・真空断熱材:約0.002W/m・k
-25℃グレードの保冷剤を採用するユーザーのなかには、簡易的な発泡スチロールの通い箱から、真空断熱材を用いた保冷ボックスに切り替えたことで、-18℃以下を最大18h維持されている例もあります。

2-2.折り畳み可能な保冷ボックス

保冷ボックスを折畳式にすれば、配送後のボックスの回収効率がアップするばかりか、物流センター等の拠点で保管しておく際にも便利です。通い箱として保冷ボックスをご採用いただく多くのユーザーが、折畳式を選択されています。折畳式にしておけば、ボックス回収時に必要な車輌数の削減にも繋がるため、脱炭素社会の実現にも貢献します。
CNG(天然ガス)トラックやハイブリッドトラック、電気自動車といった環境対応車の導入、モーダルシフトの推進やエコ安全ドライブによる燃料消費の抑制等々、事業活動の合理化と効率化を推進することでCO2排出量の削減に取り組む物流会社が数多存在するなか、キラックスも保冷ボックスの提供で、CO2削減の一旦を担っています。

3.まとめ

保冷ボックスの運用が「SDGs」達成の一翼を担っていることをお分かりいただけましたでしょうか?
私たちキラックスは、保冷バッグのメーカーでありながら、物流業界を支える縁の下の力持ちでありたいと考えています。地球環境への配慮と社会貢献が求められる現在、私たちには、無電源で管理温度を維持出来る技術があります。「SDGs」を達成するための取り組みは、目の前の保冷ボックスや保冷剤から始めることが出来ます。
キラックスでは、独自開発した熱解析シミュレーションソフトで、目標温度や時間や内容物に合わせた最適な保冷バッグを設計させていただけます。保冷ボックスの見直しや保冷剤の運用を検討されているご担当者様、是非ともお気軽にご相談ください。


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