肉の鮮度保持

お肉の鮮度保持|温度管理と保存方法に秘訣アリ!

温度管理のヒント
2022.05.18

昨今、スーパーマーケットだけでなくドラッグストアなどでも気軽に手にする事の出来る肉は日常の食卓からお祝いの場など私たちの生活に欠かせない存在となっています。
肉といっても牛・鶏・豚を筆頭にその他の家畜・野生動物も含め、私たちが食べる事の出来る肉には様々な種類が有ります。そんな、普段の食生活に関わりの深い肉だからこそ鮮度維持や保存方法への関心が高く、中には誤った方法で保存、パッキングをされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。本コラムを通じて肉の鮮度維持から保存に関しての方法をご案内致します。

-目次―
1.鮮度を保持して食肉を保存するには
1-1.鮮度保持の基本
1-2.冷蔵保存の基本
1-3.冷凍保存の基本
2.食肉のドリップの原因と対策
2-1.食肉から出るドリップとは?
2-2.食肉のドリップによる影響
2-3.食肉のドリップを防ぐ方法
3.食肉の種類による保存期間と色味の変化
3-1.牛肉の管理温度と保存期間
3-2. 豚肉の管理温度と保存期間
3-3. 肉の変色による鮮度確認
4.まとめ

1.鮮度を保持して食肉を保存するには

1-1.鮮度保持の基本

鮮度保持の基本を知るためには、まず、賞味期限や加工年月日の正しい認識を持ち衛生管理への意識を高める必要が有ります。小売店などでパック詰めされた肉には、賞味期限と加工年月日の表記がされています。加工年月日とは肉の塊をスライスしたりしてパック詰めをした日。賞味期限とは冷蔵庫で保管する際、「この日までは美味しく召し上がれますよ」という期限の目安になります。その為、ご購入の際には必ず消味期限を確認いただくことをお勧め致します。また、手に取った時から肉の温度が上がってしまうことから、買物の際には出来るだけ最後に選ぶ事と、帰宅までの間は保冷バックなどを使って出来る限り外気の影響を受けないよう工夫する事も効果的です。
肉の温度上昇

1-2.冷蔵保存の基本

購入した肉の鮮度を維持して保管をする為には冷蔵庫の庫内温度を0℃~2℃以下に保つ事が理想です。家庭用の冷蔵庫では日々の開閉も多い為ラップで肉をパッキングするなど外気の影響を避ける事が必要となります。また、氷温室やチルドルームがついていればそちらに保管する事もお勧め致します。なお、パッキングの際にはドリップ(肉汁)が付いたままだと臭いが移ったり、味の馴染みが悪くなる為、事前にドリップをふき取る事も大事です。

1-3.冷凍保存の基本

2週間以上、肉を保管したいといった場合には冷凍保存を推奨します。ここでは以下に注意する事で解凍後の鮮度を保つ事が可能になります。

・小分けして保存
冷凍・解凍を繰り返すことが食中毒菌の増殖と風味の劣化に繋がる為、1回で使い切る量に小分けする事をお勧めします。
・空気に触れさせない
冷凍保存の際、酸化をさせない為にも空気に触れさせない事が重要になります。ラップでパッキングする際も空気が入らない配慮と、冷凍環境ではラップが破損し易くなる為、ファスナー付のフリージングバックに入れる事をお勧めします。

2.食肉のドリップの原因と対策

2-1.食肉から出るドリップとは?

前述した食肉の保存でドリップ(肉汁)について触れましたが、ドリップという言葉を聞き慣れていない方も多いかと思います。肉を保存している間、冷凍肉を解凍した時に見られる赤い汁をドリップと言います。ドリップの正体は肉の内部から分離して出る液体で、たんぱく質、ビタミン類、旨味成分が含まれます。その為、肉の品質を保持するにはドリップをなるべく抑える必要があります。なお、解凍した時にでる汁をドリップ、冷蔵したものからでる汁をウィープと言います。

2-2.食肉のドリップによる影響

ドリップにより、旨味成分が流れ出る事で品質に加え、味にも影響を及ぼします。更にドリップには水分が多い為、菌が繁殖し易い環境になります。その為、食中毒のリスク増加、鮮度の低下による腐敗の進行、臭みの増加へも繋がります。特に鶏肉はドリップが発生し易いので注意が必要です。食中毒のリスクを減らす為、ドリップはしっかりと拭きとり加熱をしっかりと行う事で、調理後の臭みを抑える事も出来ます。

2-3.食肉のドリップを防ぐ方法

ドリップを防ぐには冷凍・解凍方法次第で軽減する事が出来ます。冷凍をする際には急速冷凍をする事が一番の対策になります。急速冷凍をする事で細胞が傷付きにくくなり、旨味成分の流出を防ぎ解凍時のドリップ発生を抑える事が出来ます。しかし、一般の冷凍庫で冷凍保存を行う事は難しい為、以下を心掛けた冷凍保存をお勧めします。

・小分けにして厚みは薄く
・熱伝導率が高く冷えやすい金属トレーに載せる事で急速冷凍を促進
・味が染み込んで美味しくなるように肉にはあらかじめ下味をつける

3.食肉の種類による保存期間と色味の変化

3-1.牛肉の管理温度と保存期間

形状によっても異なりますが、冷蔵保存ではブロックで約5日、スライスで約3日、ひき肉で当日~1日程が目安になります。また、管理温度も0℃~2℃が望ましいのでチルド室での保存をお勧めします。なお、どの種類の肉にも共通して言える事ですが、形状ではブロック>厚切り>角切り>薄切り>ひき肉の順序で保存が効きます。

3-2.豚肉の管理温度と保存期間

形状によっても異なりますが、冷蔵保存ではブロックで約2~3日、スライスで約2日、ひき肉で当日中が目安となります。管理温度も0℃~2℃が望ましいのでチルド室での保存をお勧めします。

3-3.肉の変色による鮮度確認

肉を保存する中で色の変化が見受けられますが、色の変化でも品質を確認する事が可能です。特に牛肉は豚肉や鶏肉などと比べてもミオグロビンの含有量が多い事も有り色の変化が出やすいです。ミオグロビンは空気に触れると酸化が進み赤色が鮮やかになるのですが酸化が進む事でミオグロビンがメトミオグロビンという成分に変化します。
この成分はくすんだ茶色をしている為、進行すると赤色から茶色へと変化します。茶色の部分を取り除けば食べられるケースも有りますが、広範囲に変色している場合は食べない事をお勧めします。

4.まとめ

本コラムを通じて、肉を保存する上での管理温度の他、ドリップが与える品質への影響、変色による品質確認についてお伝えしました。温度管理は勿論の事、冷蔵・冷凍保管をする際のひと手間をプラスする事で美味しさ・鮮度の維持が可能となり、ひいては昨今社会的にも注目されるSDGsの目標12.3「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる」への貢献にも繋がります。
私たちが日常の食材管理において、ほんのひと手間をプラスする事が廃棄を減らす事にも繋がりますので食材の鮮度管理への意識を今よりも少し高めていってはどうでしょうか。

キラックス理念

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