食品小売業界必見!予冷が大切なその訳
コロナの終息も未だ見えない中、この2年で様々な生活様式が大きく変化しました。
特に私たちの身近にある食に関して言えば、テレワークや外食を控え、家庭内での調理や食事が増えた事で、家庭用冷凍食品が外食冷凍食品の出荷量を超えたとのニュースもあり、食に対する変化がありました。
※2022年4月21日、日経新聞より参照。
食品に対する温度管理は、今に始まった事では有りませんが、冷蔵食品・冷凍食品・チルド商品など、商品毎に異なる管理温度は多岐に渡ります。様々な商品全般に共通して言える事ですが、品質を安定させ配送や、管理したいというお悩みは常に皆様の中にある事だと思います。またコールドチェーンを取り入れ、万全の態勢で温度管理を行っている企業の方々も、輸送過程での対策(冷蔵車・冷凍車など)は出来ていても、根底にある商品がしっかりと適切な温度状態なのか?を問われると、トラックの扉開閉を何度も行う事や、開放し作業を行っている為、その際、温度上昇が起こっているが見て見ぬ振りをしていると言う事が、実情ではないでしょうか。
そんな温度管理に不安を抱えている食品業界の方々、ご安心ください!私共は長年にわたり保冷ボックスの販売を通じ、如何にして商品の温度管理を可能にするかご紹介して参りました。
その方法の一つとして今回ご紹介するのが、ズバリ「予冷」です!
食品業界の皆様は、一度は耳にしたことがある言葉かと思いますが、初めて予冷という言葉をお聞きになる方や、ご存じの方も含め、改めて予冷とは何か?予冷を行う事で何ができ、解決できるのか等々ご紹介させて頂きます。
この記事をお読みいただければ、これからの温度管理に対し、予冷の大切さをお分かり頂く事ができ、予冷を行う事でこれまでのお悩みが少しでも解決頂ければ幸いです。
【目次】
1.予冷ってなに?
1-1.予冷の意味
1-2.予冷と保冷の違い
1-3.予冷の効果
2.具体的な予冷温度とは?
2-1.一般的な青果物の予冷温度
2-2.その他の予冷温度
2-3.冷蔵肉(チルド)の保存
2-4.冷凍肉(フローズン)の保存
3.予冷方法と輸送について
3-1.予冷の方法
3-2.保冷ボックスを利用した輸送方法
4.まとめ
1.予冷ってなに?
1-1.予冷の意味
予冷とは鮮度を保つため、出荷や貯蔵、保管時に先立って冷却する事です。
一般的に「予冷」と検索すると、大半のページでは青果物に関する内容がヒットします。
例として、野菜や果物を3~5℃程度にまで冷却。 野菜や果物は,収穫後高温下に置かれると、呼吸や蒸散を活発に行って、糖やビタミンなどの成分を消耗したり、しおれたりする。そこで、高温期に収穫する野菜や果物は、予冷によって温度を下げてから保冷庫で市場に運び、その間の呼吸や蒸散を抑えて品質の低下を防ぐことが多い。ホウレンソウ、シュンギク、レタスなど、葉が軟らかく、しおれやすい野菜の産地は、これまでは収穫してから市場に到着するまでの時間が短い都市近郊に限定されていたとあります。
※コトバンクhttps://kotobank.jp より引用 出典 株式会社平凡社世界大百科事典
食品には決められた管理温度が有り、それをキープする為に事前に温度調節(冷やす)を行い、安定させる事を予冷と言い、予冷を行う事で商品の温度を保つ効果と、管理時間を伸ばす事を目的としています。
1-2.予冷と保冷の違い
前出でご説明しました通り、予冷とは事前に商品の温度を安定させることであり、また商品などを低温状態で保つ事です。
※コトバンクhttps://kotobank.jpより引用 出典 精選版 日本国語大辞典
保冷は食品などを低温状態で保つ事です。言い換えれば予冷=保冷ではありますが、そもそもの趣旨が異なります。
1-3.予冷の効果
予冷の効果はズバリ商品の温度を下げ 安定させて、その効果により商品の温度管理時間を伸ばす事が可能となります。出荷前・発送前に、その商品を決められた温度下で保管する事(予冷)を行い発送します。予冷を怠ると、いくら品質の良い商品でも、不安定な温度状態では鮮度が落ちてしまいます。 特に葉物野菜や冷凍食品など外部の温度環境に影響を受けやすい商品は、特に注意が必要です。「冷えているから大丈夫だろう」「少しくらいなら環境温度が違っていても問題ないだろう」は大間違いです。決められた温度で予冷し、きちんと温度管理する事で劣化を抑え、商品価値を維持する為にも予冷は必要です。
2.具体的な予冷温度とは?
2-1.一般的な青果物の予冷温度
ここでは、一般的な青果物の予冷温度をご紹介いたします。青果物は様々な種類があります。
青果物とは、野菜・果実・山菜・きのこなどの総称です。しかし、野菜と果実・山菜等の分類は、使用する立場によって異なっているのが現状です。例えば、農林水産省では、主に栽培方法により分類しており、野菜は食用として栽培する一年生あるいは二年生草本としています。多年生草本であっても、毎年苗を植えるイチゴは野菜に分類していますが、一方、果実(果樹)は、多年生の木本あるいは草本で、果実を食用とするものとしています。それに対して、文部科学省がまとめる日本食品標準成分表では、消費される場面を念頭に、スイカ・メロン・イチゴは、いずれも果実類に分類しています。
厚生労働省が発表している「大量調理施設衛生管理マニュアル」(平成9年3月24日衛食 第85号別添)(最終改正:平成24年5月18日食安発0518第1号)参考資料4の別紙1では生鮮果実・野菜は10℃以下と明記されています。
※参考文献:大量調理施設衛生管理マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002kxlb-att/2r9852000002ky4c.pdf
また,農研機構 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構では、青果物は種類が非常に多く、それぞれの特性が多様であるため、全ての青果物にあてはまる品質保持条件は存在しないと解説されており、現状では、5℃~10℃の、当たらずとも遠からずの条件を目途に青果物の流通が行われている。と明記されています。
※参考文献:青果物の鮮度に関する収穫後生理学
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/nfri_syokuryo56_4.pdf
この様に、青果物はその種類の多さや分類が多く、10℃以下での温度管理であれば問題無いとしています。だからこそ10℃以下を如何にして保てば良いか、品質を良くすることが出来るかは、予冷が重要になります。貯蔵温度=予冷温度と捉えて頂けると分かり易いかと思います。
弊社HP、野菜・果実類の性質と貯蔵条件を掲載しておりますのでご参照ください。
※野菜・果実類の性質と貯蔵条件:https://horeihoon-box.com/column/1718/
2-2.その他の予冷温度
予冷を行う商品として、青果物以外にも水産物や畜産物があります。
水産物の流通として国産の水産物は生産者から産地卸売市場と消費地卸売市場を通り、卸・加工業者そして小売業者(量販店など)を経由して消費者に届きます。輸入水産物は,商社などの輸入業者から消費地卸売市場または卸・加工業者そして小売業者(量販店など)を経由して消費者に届きます。
また畜産物は、そのほとんどが冷蔵品(チルド)であり、輸入される冷凍品(冷凍品)との差別化を図っています。また、海外からの輸入肉は、その多くが加工用となっており、凍結解凍後に加工、加熱 処理され、再度凍結されます。このように、凍結解凍を繰り返すことによる、品質の劣化が予想されます。
上記の通り青果物と異なり水産品や畜産品は更に温度管理が困難で、その理由として水産品、畜産品共に温度を逸脱すると、変色やドリップ、臭いの発生が起こり、商品価値が著しく損なわれる可能性が高くなるからです。
※参考文献:Ⅱ.コールドチェーンの現状-日本冷凍空調学会
https://www.jsrae.or.jp/cck/2.pdf
弊社HP、野菜・果実類の性質と貯蔵条件を掲載していますのでご参照ください。
※水産品および一般食品の性質と貯蔵条件: https://horeihoon-box.com/column/1745/
※畜産品の性質と貯蔵条件:https://horeihoon-box.com/column/1741/
2-3.冷蔵肉(チルド)の保存
前出でご説明しました畜産の中でも、現在多くの流通や保管に用いられているのがチルド帯での保管・管理方法です。チルド(英語: chilled)は、冷却されることで、「冷やす」を意味する英語の動詞‘‘chill’’の過去分詞です。凍結状態の冷凍、半凍結・微凍結状態のパーシャルとは区別され、チルドは低温での冷蔵ですが、冷蔵と区別する時にも用いられます。
鮮度の低下は温度が低いほど少なくなりますが、冷凍してしまっては解凍時に品質が落ちるため、チルドが鮮度を保つのに最も適した温度だと言われています。
温度の定義にはいくつかありますが、JAS法(食品保存基準)では、5℃以下。
なお、冷蔵は10℃以下。JIS 9607(冷蔵庫の規格)では、0℃付近を指します。
日本郵便や多くの宅配便会社はチルド便の温度を0℃~5℃としています。
※参考文献:Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%AB%E3%83%89
2-4.冷凍肉(フローズン)の保存
冷凍肉(フローズン)とは食肉処理工場で枝肉から部分肉をマイナス35℃以下の急速凍結を行った食肉です。その後マイナス20℃以下で保管、輸送されます。
急速凍結する事で、鮮度を保ちドリップ や変色を防ぐ効果と、厳重にラッピングする事で長期保存が可能となります。家庭で保存する際は、塊肉をそのまま凍結させると解凍させた時にドリップの流出が多く起こり、風味を損なうことになる為、注意が必要です。
※肉を保存している間、冷凍肉を解凍した時に見られる赤い汁をドリップと言います。ドリップの正体は肉の内部から分離して出る液体で、たんぱく質、ビタミン類、旨味成分が含まれます。
もう一つ注意することは、解凍した肉は再凍結しないことです。再凍結すると鮮度を損ない、かつ品質が著しく劣化しますので、避けてください。
弊社HP、畜産物の性質と貯蔵条件を掲載していますのでご参照ください。
※畜産品の性質と貯蔵条件:https://horeihoon-box.com/column/1741/
3.予冷方法と輸送について
3-1.予冷方法
予冷方法は冷風冷却、真空冷却、冷水冷却に大別されます。
■冷風冷却方式
冷風冷却方式には強制通風冷却と差圧通風冷却方式の2種類。強制通風冷却は、予冷庫内の空気を強制的に撹拌する事で熱交換を速くする工夫となっており対象物に直接冷気を吹きつけ冷却する方法ですが、表面の熱は取れますが、内部まで冷却するには比較的時間を要します。 差圧通風冷却は対象物の両側面に圧力差を作り内部まで冷やす事が可能で、強制通風よりも早く冷却する事が出来ます。
■真空冷却方式
真空冷却は、水が減圧(真空)環境下では常温で蒸発し、その際蒸発潜熱として対象物から熱を奪うということを応用した冷却法です。すなわち、真空冷却法とは野菜であれば水分を飛ばして冷やすことが出来ます。従って水分の飛びにくい対象物などには不向きです。また、品温の高い葉菜類では予冷が終わったときに少し萎れることさえあります。
真空冷却の利点はなんといっても予冷処理時間の速さにあります。
■冷水冷却方式
水は熱伝達が空気に比べて速やかなために、冷水は短時間での冷却に効果的です。したがって、冷水がたやすく利用できる場合やコンテナ(水濡れを気にしなくて良い)出荷ができる場合には採用を考慮してよい方式です。
上記の通り、予冷の方法は色々ありますが、一般的には冷蔵庫や冷凍庫を使用し予冷を行う事と考えて頂ければと思います。
3-2.保冷ボックスを利用した輸送方法
弊社は保冷ボックスの製造、販売メーカーとして様々な商品に対する温度管理をお手伝いする保冷ボックスを提供して参りました。食品は勿論の事、メディカル品から工業品まで温度保持時間や配送方法、保管方法でお困りの方々に最適な商品とその方法を提供して参りました。保冷ボックスを利用した輸送方法は、今回の予冷にも大きく関係しています。
商品を予冷するように、保冷ボックスも同じく予冷を行う事で、商品の温度保持時間が大きく変わります。
4.まとめ
それぞれの商品に適合した、適切な温度で予冷を出荷前に十分実施する事で野菜や果物、その他様々な商品の鮮度を保持する為に有効である事がお分かり頂けたかと思います。
キラックスでは保冷ボックスだけでなく、商品に対する適切な予冷温度や管理方法など
専門的なアドバイスも行っています。保冷ボックスや蓄冷剤等ご購入を検討の際は、ぜひご相談ください。
関連記事
関連記事