美味しい野菜を食卓まで。温度管理と保存の秘訣とは?

温度管理のヒント
2022.05.26

いろんな形や色がある野菜。カラフルな野菜は食卓を彩り、他の食材も引き立て、楽しい食事の時間を演出してくれます。
そんな野菜も、おいしくいただくためには鮮度が命です。新鮮な野菜を食卓までお届けするには収穫してから発生する劣化を極力抑えなければなりません。そのために必要なこととは・・・・・。
それは、その野菜の保存に合った温度、湿度など様々な条件を満たすことです。
今回は保存に必要な温度、湿度などそれぞれの野菜に合った条件をご紹介させていただきます。

【目次

1.野菜の鮮度が落ちる理由?
 1-1.野菜は呼吸しています
 1-2.水分が蒸発
 1-3.エチレンガスの発生
 1-4.劣悪な保管状態
2.野菜の種類の違いによる保存方法
 2-1.根菜類の保存方法
 2-2.果菜類の保存方法
 2-3.葉菜類の保存方法
 2-4.きのこ類の保存方法
3.野菜の鮮度は温度管理で変わる?
 3-1.常温保存する野菜
 3-2.冷蔵保存する野菜
 3-3.冷凍保存する野菜
4.まとめ

1.野菜の鮮度が落ちる理由?

野菜の保存温度を解説する前に、まずは野菜の鮮度が落ちる理由を4つご紹介します。

1-1.野菜は呼吸しています

野菜の鮮度が落ちる理由の一つ目は、呼吸。ご存じかもしれませんが、野菜の多くは収穫された後でも呼吸をしています。
畑で植わっている時には根から養分を吸収し、呼吸をしています。しかし、収穫の後では呼吸をするときに、自分自身の体から、糖分・ビタミンCなどの栄養分を分解しエネルギーを作っているのです。さらに、野菜は収穫後も生命活動を続けようとして呼吸の速度を速めます。
つまり、収穫後も野菜が呼吸をすることで、自分自身の栄養素を分解し、呼吸の速度をあげることで、鮮度が早く落ちていく原因となっているのです。

1-2.水分が蒸発

野菜の鮮度が落ちる二つ目の原因は、水分。85~95%もの水分を含んでいる野菜は、収穫後も主な成分である水分を蒸発させながら成長していきます。野菜の中のたった5%でも水分が蒸発すると、ハリやツヤがなくなり、商品としての価値が低下してしまうといわれています。
つまり、野菜の水分が蒸発すると鮮度が落ちてしまうのです。水分の蒸発の影響を受けやすい野菜は、水分の含有率が高く組織が柔らかいので、細心の注意を払って保存しなくてはなりません。

1-3.エチレンガスの発生

野菜の鮮度が落ちる三つ目の原因は、エチレンガス。野菜はエチレンガスを放出しています。エチレンガスは野菜の成長を早める植物ホルモンの一種であり、成熟し美味しくなるために必要な成分のこと。
しかし、野菜は収穫した後でもエチレンガスを吸収してしまうので劣化の原因となります。新鮮な状態で収穫したフレッシュな野菜でも、保存や流通の段階で時間の経過とともに鮮度が低下していきますので、保存方法には気を付けたいものです。

1-4.劣悪な保管状態

野菜の鮮度が落ちる四つ目の原因は、劣悪な保管状態。重力とは反対方向に根や茎が立ち上がる性質があるような野菜を横に寝かせて保存すると、真っすぐだったものが曲がり、商品的な価値を無くしてしまいます。また、収穫時や移動時に傷ついた部分が褐色などに変化することも。野菜が変色した状態だと一般消費者の方は、見た目で鮮度が低いと判断してしまいます。
加えて、保存している時の温度が高すぎたり低すぎたりすることで、劣化が速まることもあります。保存温度が悪いと、細胞の活動が低下し抵抗力がなくなり表面についていたカビなどが繁殖…。せっかくの野菜が販売できなくなってしまうこともあります。

2.野菜の種類の違いによる保存方法

野菜の鮮度をたもつためには、野菜の保存方法がとても重要。実は、野菜の種類によって保存方法が異なります。ここでは野菜の種類別に保存方法をご紹介します。

2-1.根菜類の保存方法

根菜類の野菜は、ニンジン、大根、ゴボウ、レンコンなど。根菜類の保存方法は土付きのままの保存がおすすめ。洗ってしまうと腐りやすくなり日持ちが悪くなってしまいます。温度や湿度が安定した暗いところにできるだけ密閉した状態で保存することがよろしいでしょう。 冷やしすぎても味が落ちてしまうことがあります。 例えばニンジンの場合、0℃の温度、相対湿度95%の条件でしたら5~9か月の保存が可能だと言われております。

2-2.果菜類の保存方法

果菜類の野菜はトマト、ナス、キュウリ、ピーマンなどで一年中出回ってますが、本来は夏の野菜が多いです。
トマトなども夏の野菜の一種。夏の場合は冷蔵保存しても良いですが、そのほかの季節は常温で構いません。温度7~10℃、相対湿度85~90%の条件でしたら、4~7日間の保存が可能だと言われております。

2-3.葉菜類の保存方法

葉菜類の野菜は、ほうれん草、キャベツ、レタスなど葉の部分を食べるもの。
ブロッコリーやカリフラワーなどつぼみや花を食べるため花菜類(かさいるい)と言われていますが、葉菜類の一種です。葉菜類は上に向かって伸びていく野菜なので、生育中と同じ状態で立てて保存します。
ほうれん草などは温度0℃で相対湿度95%の条件でしたら、10~14日間の保存が可能だと言われております。

2-4.きのこ類の保存方法

きのこ類の保存は水気に注意が必要!きのこの種類は水気にとても弱い野菜です。水分が付いていたらその部分から傷み始め、だんだんと黒ずみ、商品価値が下がってしまいます。
マッシュルームなどは、温度0℃で相対湿度90%の条件でしたら、3~4日間の保存が可能だと言われております。

3.野菜の鮮度は温度管理で変わる?

野菜を新鮮に保つためには、温度の管理も重要。それぞれの野菜に最適な温度があります。それでは、常温保存・冷蔵保存・冷凍保存の3種に分けてみていきましょう。

3-1.常温保存する野菜

常温保存に向いている野菜はこのような種類です。
・土の中で育つ野菜(玉ねぎ、サツマイモ)
・皮の厚い野菜(カボチャ)
・夏野菜(トマト、ナス)
・根菜類(大根、ゴボウ)
土の中で育つ野菜や寒さに弱い野菜は、常温保存が向いています。風通しの良い冷暗所で保存しましょう。
サツマイモは温度13~16℃・相対湿度85~90%で4~7月、カボチャは温度10~13℃・相対湿度70~75%で2~3月の保存が可能と言われています。

3-2.冷蔵保存する野菜

冷蔵保存に向いている野菜はこのような種類です。
・ニンジン
・白菜
・レタス
・ホウレン草
・キャベツ
冷蔵保存は0~5℃ほどが理想で、冷蔵庫の冷蔵室の温度とほぼ同じです。白菜やレタスなど寒さに耐えておいしくなる野菜は、育った環境(温度)で保存することにより新鮮さが保たれます。
ニンジンは温度0℃・相対湿度98~100%の条件で5~9月、キャベツは温度0℃・相対湿度は95%の条件で3~5週間、レタスは温度0~1℃・相対湿度95~100%の条件で2~3週の保存が可能と言われています。

3-3.冷凍保存する野菜

販売前に冷凍してしまうと、葉物などは搬送中に他のものとぶつかり合って壊れてしまう危険性があります。ジャガイモは解凍するとぼそぼそっとした食感になってしまったりして品質の劣化が起こってしまいます。
基本的に野菜を冷凍するのは、お客様がお店で購入した野菜をご家庭で小分けしてから冷蔵庫の冷凍室での冷凍となります。
冷凍保存に向いている野菜は、ほうれん草や小松菜などの葉物野菜、ブロッコリーなど。きのこ類も冷凍保存に適しており、冷凍することで旨みがUPするとも言われています。
逆に冷凍保存に向いていない野菜は、水分の多いレタスやトマト、人参や大根、ゴボウなどの根菜類など。冷凍すると野菜の美味しさが損なわれてしまう可能性があります。
野菜を冷凍保存する場合は、冷凍に向いている野菜かどうかを確認し、正しい方法で冷凍することが望ましいでしょう。

4.まとめ

おいしい野菜を食卓にお届けするにはやはり鮮度が大切です。野菜の鮮度をより良く、より長く保つには、その野菜の貯蔵条件に合った温度や湿度で保存しなくてはなりません。今回はその方法をご紹介させていただきました。新鮮な野菜で健康な毎日が送れますように、心から願っています。

野菜・果実類の性質と貯蔵条件は⇒こちら

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