ドライアイス不足!現状と対応策

業界あれこれ
2022.10.06

今年2022年の夏は全国各地で猛暑日(35℃以上)を記録し、東京では16日連続で過去年間の猛暑日の歴代最多記録を更新しました。※2022年8月16日時点
この異常とも言える気候に対し、ドライアイスを必要とする食品分野や物流分野では、これまで以上に温度管理に対する意識が高まっている状況であることは安易に考えられます。
しかし、肝心のドライアイスが世の中から減っている事を皆さんはご存じでしょうか?
アイスクリームを購入する際に、提供されるドライアイスや、スーパー等で持ち帰る際に使用するドライアイス、また宅配便の冷凍商品配送では一般的に多くドライアイスが使用されています。そんなドライアイスが不足している理由や状況を解説させて頂きます。

◎ドライアイスについて(関連コラム)
ドライアイスを使用した温度管理輸送と保冷ボックスの活用方法
意外と知らない!?ドライアイスを処理する際の4つのNG行動とは?

-目次-
1.ドライアイス不足の理由と現状
1-1.ドライアイス不足の理由
1-2.ドライアイスの現状
1-3.ドライアイスの値上げ
2.ドライアイス不足に対する方法
2-1.ドライアイスを減らす
2-2.ドライアイスを使用しない
3.まとめ

1.ドライアイス不足の理由と現状

1-1.ドライアイス不足の理由

昨今のドライアイス不足の理由として、大きく3つの要因があります。
まず、新型コロナウイルスが2019年12月31日、中国湖北省武漢市で病因不明の肺炎の集団発生が報告されました。
1月9日、中国当局は、このウイルス性肺炎の原因が、新しいタイプのコロナウイルスであると最初に同定され、既知の他のヒトコロナウイルスとは異なるものであったことをメディアで報告しました。
これをきっかけに国内では新型コロナウイルスワクチンを輸送する際に、ドライアイスを使用し、もっとも早く接種が可能とされたファイザー製のワクチンの保管温度が−75℃(±15℃)、モデルナ製の保管温度は−20℃(±5℃)と定められたことにより、国内のドライアイスが逼迫しました。
翌年には管理温度が−75℃の超低温冷凍から-15~-25℃の温度帯での冷凍に移した後、14日間の保存ができるとする新たなデータをアメリカ食品医薬品局(FDA)に提出し、認められた事で、日本国内でも同様な保管が可能となりドライアイスも落着きを見せました。

ドライアイスメーカーからの聞き取りによると、2021年にコロナウイルスが蔓延した事により外出制限が発令され、車での移動や外出が減り、また航空機の減便が大きく影響し、ガソリン精製量の制限を行ったことでドライアイスの原料となるガスが発生せず、生産量が低下して不足する事態に陥ったとの事です。

今年に入り大手石油会社で設備トラブルが発生、またドライアイスを製造する工場では定期修理の時期と重なった事で、関東方面のドライアイスが大幅に不足、それを補う為に関西から緊急対応や、海外からの輸入(中国・韓国)を行いましたが、従来の必要量を確保する事が出来ず、中には7割減で納品する事態となった企業も有るそうです。

1-2.ドライアイスの現状

この様にドライアイスは今も非常に不安定な状態が続いており、今後もガソリンの精製量が大きく左右することとなります。またドライアイスの原料となるガス不足は更に深刻な問題であり、2022年6月14日には、「出光、山口製油所の操業停止24年3月めど、脱炭素へ拠点見直し」と紙面情報でも発表された通り、厳しさは増すばかりです。
※参考記事:出光、山口製油所の操業停止 24年3月めど、脱炭素へ拠点見直し:時事ドットコム (jiji.com)参照

1-3.ドライアイスの値上げ

ドライアイスの価格は、大手企業から小売まで消費する量が異なる為、一概にどれ程上昇したか、その感覚は各社で異なると思われます。しかし今年に入り全国で大幅に価格改定が行われました。この件に関しては、メーカー各社、様々な要因があろうかと思われますが、特に大きな要因として「製造工場・プラントで使用する電力値上げ」と言われています。例えば2022年6月29日に発表された関西電力の報告によりますと、平均燃料価格が2022年2月~2022年4月に平均燃料価格52,100円/k1でしたが、2022年3月~2022年5月では56,800円/k1と4,700円と大きく上昇している事が分かります。
※参考記事:関西電力/2022年8月分電気料金の燃料費調整

2.ドライアイス不足に対する方法

2-1.ドライアイスを減らす

ドライアイスを減らす方法として、私共では保冷ボックスのメーカーとしてドライアイスを如何に減らし、且つ商品温度を担保するためのご提案を行っております。
保冷ボックスの断熱効果を高め、ドライアイスの使用量を減らす事で、ランニングコストを抑える方法や、ドライアイスと蓄冷剤を併用させる方法など、これまでの採用事例やノウハウにより、それを実現させています。また現状の運用方法をお聞きし、適切なアドバイスを行っています。

2-2.ドライアイスを使用しない

ドライアイスを使用せず、運用出来れば大きなコストダウンとなります。
ここ最近では蓄冷剤へ切り替えたいとのご相談を多数頂いています。ドライアイスは昇華(ドライアイスが気化する事)して無くなるため、在庫が出来ない事から、日々のランニングコストが負担となるため、大半の方はこのコスト負担でお悩みになっていることでしょう。その点、蓄冷剤は凍結庫(冷凍庫)を使用し、繰り返し利用出来る事から、初期投資は必要ですが、早い所ですと1年以内に原価償却も可能です。
弊社の保冷ボックスと併用しドライアイスをゼロにした某社様では年間1,500万円のコスト削減に繋がった事例もあります。
関連記事:蓄冷剤とは?保冷剤と蓄冷剤に違いはあるのか?解説します!

ここで注意しなければならないのは、凍結庫の性能により蓄冷剤の温度グレードによっては凍結しない商品もあるという事です。通常ドライアイス代替で使用する蓄冷剤は-25℃以下の商品を推奨していますが、この蓄冷剤を凍結させるためには、表示温度よりも-10℃から-15℃低い凍結庫を使用しなくてはならないのです。従って専用の凍結庫が必要となるため初期投資費用や、電源の確保、その凍結庫を設置する場所を検討頂く事となります。また大量の蓄冷剤を使用する場合、凍結庫内で極力重ならないように保管し、万遍なく冷気を当てる事で凍結ムラを無くす配慮も必要となります。

3. まとめ

ドライアイス不足については、今後も注力して見て行かなければなりません。
非常に便利で、尚且つ冷やす事に特化したドライアイスは冷媒の中でも群を抜くアイテムです。今回ドライアイス不足というテーマから蓄冷剤をご紹介いたしましたが、ドライアイスが「悪い」という事では無く、上手く活用する事が重要であると考えています。
温度管理する商品の状況(環境温度や管理時間)により、ドライアイスを使用せざるを得ない企業もあるでしょう。その場合、ドライアイスを如何に最小限に抑え、ランニングコストを削減するか?という所を考え、蓄冷剤への置き換え、保冷ボックスの併用を行う事をご検討頂き、是非弊社にご相談頂けると幸いです。

キラックス理念

この記事を読んだ方におすすめのコラムはこちら↓
関連記事:ドライアイス代用に【最強保冷ボックス×蓄冷剤】を導入しませんか?
関連記事CO2削減でSDGs達成の一翼を担う高性能保冷ボックス