冷凍食品。美味しさを保つ鍵は、輸送にあり!

業界あれこれ
2022.10.13

さまざまな食品の品質を、とれたて・つくりたての状態のまま長い間保存するために、冷凍食品が生まれました。その後も進化を続け「これが冷凍食品なの?」と、驚くほどの味や食感を実現し、利用される方も増えました。更に近年、新型コロナウイルスの影響や食品ECなどで需要が増え続けています。
便利な冷凍食品が食卓にたどり着くまでには、大変な輸送を通っています。その途中は常温品と同じ取り扱いではいけません。
今回はその冷凍食品の輸送手段と輸送時の注意事項についてご紹介します。

【目次】
1.冷凍食品とは?
 1-1. 手が加えられている
 1-2. 急速凍結されている
 1-3. 適切な包装がされている
 1-4. マイナス18℃以下の品温で保管されている
2.食品の輸送は温度管理が必須の物流
 2-1. 冷凍
 2-2. 冷蔵
 2-3. 常温
3.冷凍食品の輸送について
 3-1.冷凍食品の輸送手段
 3-2.冷凍食品の取り扱い
4.まとめ

1.冷凍食品とは?

冷凍食品といわれるものはどんなものでしょう?
冷凍食品は次の4つの条件を満たすようにつくられています。

1-1. 手が加えられている

新鮮な原材料を選び、そのまま冷凍するのではなく、きれいに洗浄したうえで、魚でいえば、頭・内臓・骨・ひれなどの食べられない部分を取り除き、三枚おろしや切身にします。また、その切身にパン粉をつけて油で揚げるだけで魚フライができるように調理するなど、利用者に代わってあらかじめ前処理がされています。

1-2. 急速凍結されている

急速冷凍とは、一気に冷凍させることで食品の品質を落とさずに冷凍でき、その良好な状態を長期間キープすることができる凍結方法です。
一般的な方法で冷凍すると細胞が劣化し、急激に食品の品質が劣化してしまいます。食 品中の水分はマイナス1℃くらいから凍り始め、マイナス5℃くらいでほぼ凍結して氷結晶になります。
この温度帯を通過する時間が長いほど氷結晶が大きくなり、食品の組織を損なってしまうからです。よって、食品の組織の損傷を避けるために、この温度帯をできるだけ早く通過させる「急速凍結」を行います。これが冷凍食品の定義の1つとなっています。

1-3. 適切な包装がされている

冷凍食品は利用者の手元に届くまでの間に、汚れたり、形がくずれしたりするのを防ぐため、包装しています。そのため、耐寒性、密閉性、衝撃耐性、耐水性など様々な性質を持った包装がされています。
また、冷凍食品の包装は家庭用と業務用の2種類に分けられます。その包装形態も用途別に分かれており、家庭用は食品を包む内装容器とカートンケースの外箱が使われていますが、業務用は,ポリエチレンフィルムなどで包装され段ボールケースに詰められたものが多いです。

1-4. マイナス18℃以下の品温で保管されている

冷凍食品は品温を、生産・貯蔵・輸送・配送・販売の各段階を通じ一貫して常にマイナス18℃以下に保つように管理しています。マイナス18℃以下で保管する理由としては、細菌の繁殖を抑え、食品の酸化や酵素反応などの変化を抑制し品質を保つためです。そういった保管の下では、約1年間ほぼ元の品質を維持できると言われています。
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2.食品の輸送は温度管理が必須の物流

食品物流における温度帯は、冷凍・冷蔵・常温の3つに分けられます。
ここでは、それぞれの違いについて分かりやすく解説します。

2-1. 冷凍

冷凍とは「フローズン」とも呼ばれています。マイナス15℃以下で管理しなければならない荷物のことを指しています。当然、冷凍食品はこの温度帯で輸送しなければなりません。
3つの温度帯の中では最も温度が低く、冷凍食品以外にも、アイスクリームや冷凍魚、冷凍肉なども、この温度帯で輸送しなければなりません。

2-2. 冷蔵

冷蔵は「チルド」とも呼ばれています。マイナス5~5℃で管理される温度帯のことで、野菜やフルーツ、乳製品などが代表的ですが、肉や魚なども含まれます。
「常温で放置すると鮮度が著しく落ちるもの」が保管されるのが一般的です。常温では保管が難しいですが、凍らせる必要の無いものが挙げられます。

2-3. 常温

常温は「ドライ」とも呼ばれています。10~20℃で管理される温度帯のことで、一般的な物流倉庫などが該当します。自社倉庫を持ちながら運用している企業も全国各地で多く見られ、比較的管理に手間がかかりにくい温度帯といえます。生鮮野菜、マヨネーズ、ワイン、生鮮果実、チョコレートなどの温度条件によっては痛みやすい食品などが常温に使われる貨物に該当します。
運送会社の通常配送サービスは、私たちも日頃から意識せずに利用しているのが常温の温度帯です。
関連記事:蓄冷剤とは?保冷剤と蓄冷剤に違いはあるのか?

3.冷凍食品の輸送について

冷凍食品の輸送とは、冷蔵庫を含む冷蔵倉庫から別の冷蔵倉庫へ運搬することを目的とする比較的長時間の運搬が輸送です。一方、冷蔵倉庫から小売店又は一般消費者など最終需要者へ運搬する比較的短時間の運搬を配送といいます。

3-1.冷凍食品の輸送手段

冷凍食品を輸送する輸送用コンテナを含む車輌の設備について、次のようになっている必要があります。
(1)輸送用車輌は、冷凍食品の品温を、マイナス18℃以下の温度に保つような保冷構造になっていなければならない。同時に、冷凍機又はその他の冷却設備を備えていなければならない。
(2)輸送用の車輌は、荷台の庫内温度を示す温度計又は温度測定装置を備えていなければならない。可能であれば、庫外から庫内温度を読みとることが出来るような仕組みになっていることが望ましい。
(3)冷凍食品は、輸送用の車輌の庫内の前後、両側部、天井および床との間を、冷気が円滑に循環出来るように庫内に積み込まなければならない。そのためには輸送用の車輌は荷物の積み込みをした場合、輸送中に荷くずれをしないような構造になっていなければならない。
(参照元:冷凍食品関連産業協力委員会『冷凍食品自主的取扱基準』reisyokuH2512.pdf (jsrae.or.jp)
関連記事:3分でわかる!冷凍車と冷蔵車の違いを徹底解説!

3-2.冷凍食品の取り扱い

冷凍食品の輸送時には、以下のような注意をしなければならない。
⑴ 輸送用の車輌は、荷物を積み込む前に庫内の予冷が必要である。温度的にはマイナス7℃以下に冷却しておく必要がある。
⑵ 冷凍食品の品温がマイナス18℃より高い温度の場合、輸送者に冷凍食品を引渡してはいけない。又、輸送者は、このような冷凍食品を受取ってはいけない。
⑶ 冷凍食品は、輸送用の車輌の庫内に、冷気が前後、両側部、天井および床との間を円滑に循環出来るように庫内に積み込まなければならない。但し、 内壁間を冷気が循環する構造になっている車両の場合は、この限りではない。
⑷ 輸送用の車輌への積み込み積み降し作業中を除き、輸送終了時迄、冷却装置のスイッチを切ってはならない。 輸送用の車輌の扉は、積み込み積み降し作業を中断している間は必ず閉めなければならない。その場合、冷却装置は稼働させておくこと。
⑸ 冷凍食品の積み込み積み降し作業は、品温の上昇を最少にするように迅速にしなければならない。
⑹ 輸送中における冷凍食品の品温は、-18℃より高い温度にならないよう にしなければならない。但し、品温の上昇が短時間の場合は-15℃より高い温度にならない範囲では許される。管理温度逸脱を防ぐため、頻繁に温度チェックを行なう必要がある。
(参照元:冷凍食品関連産業協力委員会『冷凍食品自主的取扱基準』reisyokuH2512.pdf (jsrae.or.jp)

まとめ

冷凍食品の輸送がいかに手間のかかるものなのかご理解いただけたでしょうか?
いつまででも、おいしく食べられる冷凍食品は食品ECなどの影響で需要がどんどん増え続けています。そこで気になってくることが輸送の問題。今までご紹介したように冷凍食品の配送は、特別な装備をした車両を使い、取り扱いもとてもデリケートなもの。車両が不足し、工場でいくら作っても、注文が入っても輸送が出来なければ、お客様のお手元に冷凍食品をお届けすることはできません。
それを解消するためにキラックスでは、常温車でも輸送ができる保冷ボックスの製造・販売を行っています。もしもお困りでしたら、ぜひご一報を。温度管理に精通したスタッフがお困り事を解決させていただきます。ぜひご相談ください。

キラックス理念

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