物流DXを知ろう!物流業界の課題と効率化
現在、国が推進している物流DX(デジタルトランスフォーメーション)は、物流企業において、その注目度や重要性が伺えます。経済産業省が2018年に発表している「DXガイドライン」では、「企業は激変するビジネス環境に対応すべく最新技術を活用して、業務改革を行い、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。
※経済産業省HP「産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの推進」より参照
また国土交通省の発表では、我が国の物流をめぐる環境は、労働力不足の深刻化、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う社会・経済環境の変化、AI・IoT等の最新技術の進化等、様々な変化が生じており、このような中、令和3年6月に閣議決定された「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」においても、取り組むべき施策として「物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化(簡素で滑らかな物流の実現)」が挙げられたところです。物流の効率化に向けた自動化や荷主・物流事業者等の関係者の連携・協働を円滑化するための環境整備として、ソフト面及びハード面の標準化が必要であり、この標準化を推進する各種施策に取り組んでいると記載されています。
※国土交通省HP「物流標準化」より参照
物流DXは物流・運送業界が抱える課題を根本から解決出来る可能性が大きいと考えられ物流DXを知る事で、企業が抱える課題と効率化をご紹介させて頂きます。
■目次■
1.物流DXってなに?
1-1.物流DXの意味
1-2.総合物流施策大網とは
2.物流・運送業界が抱える課題
2-1.労働力不足の深刻化
2-2.EC需要の増加
2-3.低賃金、長時間労働による従業員への負担
3.物流DXに必要な取り組み
3-1.物流の機械化と自動化
3-2.管理システムの構築とデジタル化
4まとめ
1.物流DXってなに?
1-1.物流DXの意味
物流DXの、DXとは『デジタルトランスフォーメーション』の略。
国土交通省の『最近の物流政策について』では、物流DXを「機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革すること」と定義しています。システム導入するだけでなく、他の産業に対する物流の優位性を高めて、産業の国際競争力の強化につながる変革を行うことが重要と言及されています。
1-2.総合物流施策大網とは
日本の物流政策は、令和3年6月に閣議決定された「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」に沿って行われています。
現下の我が国の物流が直面する課題は、今般の新型コロナウイルス感染症の流行による社会の劇的な変化も相まって、より先鋭化・鮮明化しているといえます。
本大綱の下では、そうした課題に対応した施策に重点的に取り組むべく、今後の物流が目指すべき方向性を下記の[1]~[3]の3つの観点とし、関連する施策を位置付けております。
また、本大綱で掲げた様々な施策の進捗を定量的に把握するため、代表的な指標(KPI)を本大綱の別表に位置づけています。
国土交通省においては、本大綱に基づき、関係省庁とも連携して、関連する施策を強力に推進してまいります。
[1]物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化(簡素で滑らかな物流の実現)
[2]労働力不足対策と物流構造改革の推進(担い手にやさしい物流の実現)
[3]強靱で持続可能な物流ネットワークの構築(強くてしなやかな物流の実現)
※国土交通省HP「総合物流施策大綱」より参照
◎「総合物流施策大綱」についての詳細はこちら
総合物流施策大綱とは?|構造改革と生産性向上の気運高まる
2.物流・運送業界が抱える課題
2-1.労働力不足の深刻化
厚生労働省が2021年に実施した「労働力経済動向調査」においても、物流業界における労働力不足が深刻化していることが言及されています。
また、全日本トラック協会が行った「トラック運送業界の景況感」に関するアンケートに、約7割の企業がドライバー不足と回答。市場が順調に拡大する一方で、労働力不足による配達員への負担増が大きな問題になっています。
※国土交通省「最近の物流政策について」より参照
このように深刻な労働力不足に陥っている理由の1つとして、「仕事がキツい」「収入は高くない」といった物流業界の労働環境の悪さが挙げられ、人員の確保が難航しています。
このように物流業界に従事する人が増加しない理由としては、業界の労働条件が改善されないことが大きな要因と考えられ、トラックドライバーの年間労働時間は、全業種の平均を約20%も上回っています。これは長時間労働が常態化していることを示しており、国を挙げて働き方改革に取り組んではいますが、なかなか思うように進んでいないのが現状です。
2-2.EC需要の増加
近年のEC市場増加に伴い、個人向けの小口配送が大幅に増加しています。経済産業省の電子商取引に関する市場調査によれば、2020年時点のEC市場全体で19.3兆円まで規模は拡大し、物販系分野だけでも12.2兆円と、EC化率は年々増加傾向にあります。
配送件数の増加と高頻度化によって配送手順が複雑になり、業務効率の悪化と生産性の低下が問題となっています。
※経済産業省HP「電子商取引に関する市場調査の結果」より参照
2-3.低賃金、長時間労働による従業員への負担
物流業界では、輸送効率よりも時間効率を優先するあまり、低賃金・長時間労働が常態化しています。このような労働環境の悪さが、人手不足を招き新たな担い手の確保が難しい要因として挙げられます。また仕事が大変にもかかわらず、収入が高くない現状は、若年層の労働力不足に拍車をかけ、業界全体で就業者の高齢化が加速しています。
3.物流DXに必要な取り組み
3-1.物流の機械化と自動化
近年、物流業務をロボットなど導入し機械化・自動化することで、人手不足を解消し、非接触・非対面型の物流システムが構築している企業も見受けられます。自動運航船やトラック隊列走行といった幹線輸送を自動化・機械化すれば、作業員の負荷が軽減され、安全性の向上に繋がり、また省力化の可能性も高まります。倉庫内の荷物運搬や梱包作業を行う自動ロボットの導入も進んでおり、今後ますます企業は従業員の労働環境改善と働きやすさ、企業の利益を確保する事を目指し課題に取り組んでいる状況です。
3-2.管理システムの構築とデジタル化
物流DXでの倉庫管理システムは、商品の在庫や入出荷などの管理ができます。さまざまな視点から物流DX導入を進めると、データ連携などができて業務効率の向上が図れます。
倉庫管理システムにAIを活用すれば、ピッキング作業指示作成の最適化などができます。
物流DXでは、配送ルートの最適化も可能で、従来、配送ルートはドライバーの経験と勘により最適な配送ルートを見つけ、業務を行っていました。
しかし、AIなどの技術を取り入れると、経験や勘に頼らない配送ルートを作成できます。具体的には、天候や事故状況、混雑状況などのデータを集積してAIが最適な配送ルートを割り出します。配送ルートの最適化が保たれると、トラックの燃料費削減、積載量の効率化にも繋がり、ドライバーの安全確保にも役立ちます。
この様に結果として、管理システムの構築、デジタル化を行う事は省人化につながりコスト削減も実現できます。
4.まとめ
未だアナログ運用が多い物流業界にとって、物流DXは必要不可欠な取り組みです。多様化するニーズに対応していくうえでも、物流のDX化を推進し、業務の効率化を図る取り組みは現在、各社で盛んに検討されています。
自社の業務効率化だけでなく、顧客にもメリットをもたらす物流DXは課題を抱える物流業界では、デジタル技術を活用した課題解決として大きな業務改善だと思います。
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