ドライバー負担軽減に向けて「中継輸送」の取組み事例を紹介!

業界あれこれ
2023.03.24

2024年4月1日以降、働き方改革関連法によって「自動車運転の業務」に対し、年間の時間外労働時間の上限が 960 時間に制限されることよって懸念されている「2024年問題」ですが、ドライバーの労働時間の短縮は運転時間=走行可能距離にも直接影響を与えます。それによりモノが運べなくなってしまうと危惧されています。
今回は主に長距離輸送において、迫りくる「2024年問題」の対策の一つとされている「中継輸送」についての解説と取り組み事例などをご紹介します。

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-目次―
1.中継輸送とは?
1-1. 中継輸送の3つのパターン
1-2. 中継輸送のメリット・デメリット
2. 中継輸送の取り組み事例と導入効果
2-1. 【事例&効果】ドライバー交替方式
2-2. 【事例&効果】トレーラー・トラクター方式
2-3. 【事例&効果】貨物積替え方式
3. 中継輸送の課題と品質管理について
3-1. 中継輸送の課題
3-2. 中継輸送時の品質管理
4. まとめ

食品の深夜配送

1. 中継輸送とは?

中継輸送とは一人の運転者が一つの輸送行程を担う働き方ではなく、一つの輸送行程を複数の運転者で分担する輸送方法のことを指します。ここでは中継輸送について解説していきます。

1-1. 中継輸送の3つのパターン

中継輸送は主に3つのパターンに分類されています。

① トレーラー・トラクター方式
中継拠点でトラクター(牽引車)を交換するパターンです。貨物が積み込まれた車体(トレーラー)を切り離し、トラクターのみを入れ替えるため中継にかかる時間は短く済みます。但し、業務にあたるドライバーは牽引免許を持っていることが必須となります。

② 貨物積み替え方式
中継拠点で貨物を積み替えるパターンです。積載貨物を積み替える作業(荷役)を伴うため場合によっては積み替え時間が多くかかってしまうことが考えられます。但し、ドライバーはトラックを乗り換える必要はなくなります。

③ ドライバー交替方式
中継拠点でトラックを乗り換えてドライバー自身が交替するパターンです。中継拠点における荷役作業は不要になります。異なる事業者の場合、他事業者のトラックを使用することになりますが単一の車両(トラック)で実施可能な方策となります。


国土交通省HP「中継輸送の実施に当たって(実施の手引き)」より

1-2. 中継輸送のメリット・デメリット

続いて、それぞれの中継輸送の方式におけるメリット・デメリットをまとめました。

いずれの方式を実施するにしても同一事業者で実施をする場合を除き、中継輸送についての「運行図」や詳細設定・運用を明記した「協定書」の作成・締結が必要となります。

2. 中継輸送の取り組み事例と導入効果

ここからは中継輸送についての各企業の具体的な取り組み事例と導入後の効果について、それぞれのパターン(方式)ごとにその一部をご紹介します。

2-1. 【事例&効果】ドライバー交替方式

◆実施事業者:
藤森運輸株式会社、中部地区の事業者(車両の相互使用)

○上記「中継輸送」実施による導入効果
・ドライバーの労働時間管理などコンプライアンスを徹底。
・トラックドライバーの不足が深刻化する中、人材確保に寄与。
※中継輸送導入後に、その日に内に帰れることに魅力を感じた人材から
ドライバー職への応募があり、社員として登用。

2-2. 【事例&効果】トレーラー・トラクター方式

◆実施事業者:
イオングローバルSCM株式会社、花王株式会社、向島運送株式会社、福山通運株式会社

○上記「中継輸送」実施による導入効果
ドライバーの拘束時間を1日に短縮することにより、日帰りが可能となった。
・花王社の製品や原材料の納入を同時に行い、回送便を削減し、実車率の向上
(実車率:96.5%)とCO2排出量の削減を実現。

2-3. 【事例&効果】貨物積替え方式

◆実施事業者:
門馬商事株式会社、共進運輸株式会社、株式会社ロジスティクス・ネットワークおよびニチレイロジグループ

○上記「中継輸送」実施による導入効果
・乗務員の拘束時間短縮およびパレット化により荷役作業時間短縮を実現。
・サービスおよび品質の向上と法令順守の両立。
・定時運行化により、冷蔵倉庫内の入出庫作業やスペース配分において、
トラック発着に合わせた計画的効率的な運用が可能となった。
ドライバーへの負担軽減による人材の安定確保(長距離でも毎日自宅で休息)。

3. 中継輸送の課題と品質管理について

3-1. 中継輸送の課題

ここまで「中継輸送」の3つのパターンと事例・効果についてご紹介しましたが、一部述べたようにどの方法も実際に運用・導入するにおいては各事業者間で大変細かな協定内容の擦り合わせが必須となります。
2021年に国土交通省が運送事業者を対象に調査した結果、約57%と半数以上の事業者が中継輸送の実施に前向きな意向を示した一方で、中継輸送を実施している運送事業者は約16%にとどまっているという調査結果があります。日々の業務に加えてこれらの内容検討への対応は非常に労力もかかることから事業規模の大小により前進が難しいことが課題となっています。

3-2. 中継輸送での品質管理

中継輸送はドライバーの労働時間短縮の手立ての一つではありますが、上述「2-3」内にある「サービス・品質の向上」においては中継輸送を実施するのみでは実際に担保することは難しくなります。特に冷凍食品など厳しい温度管理が必要な商品についてはトラック輸送に適した保冷資材の使用が効果的です。
キラックでは温度管理を実現しつつ、ドライバーへの作業負担を軽減できる保冷資材を製作することが可能です。その一例として荷物を多く運ぶ際に使用するカゴ車用の「ネオシッパー(新カゴ車一体折畳みタイプ)」があります。カゴ車の折畳み・組立て可動と共に追従する保冷カバーとなっており、作業の時短を実現します。
この他にも今までのノウハウを活かし、各種物流機器に応じた作業性の良い保冷カバーの製作をご案内することができます。

◎「ネオシッパー」についての詳細はこちら
キラックス製保冷ボックス『ネオシッパー』サイズや特徴を1から解説!
ネオシッパーM型(ハヤブサ)

4. まとめ

「自動車運転の業務」に対し、2024年4月1日から年960時間の時間外労働の上限規制が適用される物流「2024年問題」。上限規制を遵守しながら現在と同水準の物流を確保するためには働き方改革・長時間労働の改善が喫緊の課題となっています。
こうした中、今回ご紹介した「中継輸送」はドライバーの日帰り勤務を可能とすることなどの労務負担軽減や、人手不足の緩和につながる方法のひとつとして注目されています。そうした取り組みの中でも物流品質を落とさないための手段の一つに当社の保冷・保温ボックスをご検討頂きたいと思います。中・長距離輸送の定温物流についてもぜひともキラックスへお問合せください。

キラックス理念

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