常温トラックでアイスクリームを輸送する方法があるんです! 保冷のプロがお伝えします

温度管理のヒント
2023.04.19

日本の年平均気温は様々な変動を繰り返しながら上昇しており、特に1990年代以降、高温(+25℃以上)となる年が頻出しています。気象庁が発表している長期変化傾向(トレンド)では観測地の平均気温が10年あたりで0.25℃上昇していると発表しています。
そんな中、各種エネルギー価格の上昇などによる素材の値上げや燃料費の高騰にも拍車がかかっており、食品業界において冷凍食品やアイスクリームなどの輸配送に欠かせない冷凍車も維持費やチャーター代が高騰しています。
今回は保冷BOXメーカーがオススメする冷凍車に頼らない輸配送の方法として、特に温度管理の厳しい「アイスクリーム」の例にご紹介します。

参考・引用資料→気象庁HPより

-目次-
1. アイスクリームの適切な保管・輸送温度
1-1. アイスクリームの種類(分類)
1-2. アイスクリームの適切な保管と輸送温度
2. アイスクリームを保つ方法・手段
2-1. 保つ方法・手段_ドライアイス編
2-2. 保つ方法・手段_蓄冷剤編
2-3. アイスクリームを保つ具体例な例
3. アイスリーム輸送の解決策
3-1. キラックスとしての解決策
3-2. キラの巻を是非問合せ下さい!
4. まとめ

1. アイスクリームの適切な保管・輸送温度

1-1. アイスクリームの種類(分類)

アイスクリームは製品に含まれる「乳固形分」と「乳脂肪分」の量により以下のように分類されています。「乳固形分」とは、乳及び乳製品の中の乳由来の固形分のことで、「乳脂肪分」は、乳固形分に含まれる脂肪分のことで、バターやクリームの主成分となります。

1-2. アイスクリームの適切な保管と輸送温度

アイスクリーム類及び氷菓は容器に充填包装後、急速硬化され、その後は-18℃以下の冷凍環境下で保管・流通が規定されています(日本アイスクリーム協会より)。また、製造後の品質変化が極めて少ない食品群であり、-18℃以下で温度管理ができていれば保管・流通上での微生物増殖リスクもほぼないといえます。
逆に一旦温度が上がってしまうと、微生物が増殖する恐れが生じますので、製造工程~保管・輸送時においてもいかに「-18℃」を維持するかというコールドチェーンを綿密に繋いでいくことが重要となります。

2. アイスクリームを保つ方法・手段

ここからは冷凍車を使用しない具体的な輸送方法・手段をご紹介します。

2-1. 保つ方法・手段_ドライアイス編

アイスクリームや冷凍食品など冷凍帯の温度管理が必要なものを輸送する際に最も確実に冷凍環境を作ることができる冷媒がドライアイスです。-79℃もの低い温度を持っており、固体から気体へ一気に変化(昇華)するエネルギーにより周辺を超低温環境に作り上げます(参考コラム→「ドライアイスを使用した温度管理輸送と保冷ボックスの活用方法」)。
断熱性能の高い保冷BOXを使用することで外気温をシャットアウトし、より長時間に渡り超低温環境を維持することが可能です。逆に断熱性能が低い容器であってもドライアイスの強力な冷媒性能によりある程度の時間であれば低温を維持し、アイスクリームの温度上昇を防ぐこともできます。

2-2. 保つ方法・手段_蓄冷剤編

次に蓄冷剤を使用した温度維持をご紹介します。ドライアイスはその強力な冷媒効果がある反面、取扱いに注意が必要です(参考コラム→「意外と知らない!?ドライアイスを処理する際の4つのNG行動とは?」)。そこで変わりとなる冷媒として蓄冷剤を使用します。
蓄冷剤(保冷剤)には内容液が溶ける温度(融点)が0℃のものが最も一般的ですが、冷凍品にも対応できる-15~-25℃設定のものもあります。アイスクリームの輸配送においては-25℃を使用することをオススメします。但し、蓄冷剤にはドライアイスほどの保冷力は無く、それのみで冷凍環境を作ることは難しいため、ある程度の断熱性能の高いBOXを使用し、外気温の影響を極力受けない輸送方法を作り上げることが賢明です。
また、蓄冷剤のみではなく、ドライアイスを併用することにより温度維持を長くすることも可能です。
蓄冷剤いろいろ

2-3. アイスクリームを保つ具体例な例

キラックスでは今まで多くの定温輸送容器を製作し、温度試験を実施したデータから「キラの巻」という定温輸送事例集をまとめております。その中の一つの温度事例として、常温トラックでアイスクリームを輸送(―18℃以下を維持)するためのデータについては以下をご参照ください。容器の断熱構造の違いで経過時間による温度推移が変化することが分かります。

3. アイスリーム輸送の解決策

3-1. キラックスとしての解決策

年々平均気温が上がっている中、アイスクリームを常温トラックで輸送することは困難だというイメージがあります。アイスクリームや冷凍品のみで車両積載を満載にできれば冷凍車を使用することが最適かもしれませんが、コスト面や積載効率を上げるため常温品や冷蔵品と混載輸送せざるを得ないケースなどでお困りのことも多いかと思います。そんな時はドライアイスや蓄冷剤を使用し、無電源輸送を実現できる保冷ボックスの出番となります。輸送条件・輸送機器に応じて、断熱構造や使用する冷媒を含めた最適な保冷ボックスをご提案させて頂きます。

3-2. キラの巻を是非問合せ下さい!

今回ご紹介したアイスクリームの温度事例以外にも~定温輸送事例集~「キラの巻」には各種食品や医療・医薬品の輸送事例・温度事例をまとめて掲載しています。定温輸送にお困りの際にはご一読頂くことで近い条件の事例がみつかるかもしれません。是非、お問合せ・ご依頼ください。

4. まとめ

同じ冷凍管理の食品でもアイスクリームや氷菓は冷凍食品とは別に分類されており今回ご紹介した通り、温度管理においても維持が難しいものとなっています。また、一度溶けてしまうと形状変化だけでなく、味にも影響してしまいます。コールドチェーンをしっかりと繋ぐためにも安定した輸送方法の確率が必要です。キラックスではこれまでの実績やノウハウを元に運用にあった最適な保冷BOXを提案させて頂きます。是非、お気軽にお問合せください。

キラックス理念

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